上棟式
通常建前と呼ばれ、木造軸組の場合最後の軸材(棟)を組上げた時にお祭りします。家の守り神や工匠の神をおまつりして、新しい家に災いが起こらないよう祈願します。
上棟式の当日に餅や銭を撒くのは、節分と同じで厄払いの意味がこめられていると聞いております。
1.段取り(準備)
施上棟式の日取りと工事の進渉状況と合わせなければいけないので、着工と同時に上棟式の日時を決めた方が良いと思います。最近は、土・日・祝日に希望されますが、施工工務店に暦を見てもらって決めてください。大安日であっても暦の上で良くないとされている場合がありますのでご注意ください。
神主さんにお祓いをお願いする場合は、神主さんにご相談ください。尚、仏式でも行います。
2.神饌物(祭壇に飾るお供え物)
(量については神主さんによって違ってきます。)
・水 ・塩 ・米 ・火(ろうそく) ・お神酒 ・鮮魚(赤身) ・果物(季節のもの)
・海の幸(昆布、するめなど) ・山の幸(野菜、特に根菜) ・初穂料(俗に謝礼金)
・撒銭
3.式の進めかた
神主さんにお願いする場合。(作法は、地鎮祭とほぼ同じです)
《1》着座(ちゃくざ)
↓
《2》修祓(しゅうばつ)
↓
《3》降神(こうしん)
↓
《4》献饌(けんせん)
↓
《5》大祓詩奉唱(おおはらいしほうしょう)
↓
《6》祝詞奉唱(のりとそうじょう)
↓
《7》清祓い(きよはらい)
↓
《8》槌打の儀(つちうちのぎ)
↓
《9》玉串奉典(たまぐしほうてん)
↓
《10》撤饌(てっせん)
↓
《11》昇神(しょうしん)
↓
《12》退下(たいげ)
神主さんを頼まないで、大工の棟梁を中心に行う場合。(一般的です)
《1》上棟式セットを用意します。(市販品:吹き流し、雛人形など)
《2》雛箱を用意します。(制作します)
《3》棟札を用意します。(制作します)
《4》御幣を用意します。(制作します)
《5》枡幣を用意します。(制作します)
《6》祭壇を用意します。(通常は2階に作ります)
「進め方」
(1)棟梁の手で棟木のテッペンに吹流し等の飾り物を上げます。
↓
(2)祭壇に御幣・枡を飾ります。勿論、神饌物は同時に飾ります。
↓
(3)棟梁が建物の四隅の柱に水・塩・米・酒をまいて建物を清めます。
(四隅に餅を撒く場合もあります。)
↓
(4)棟梁の祈願の後、続いて建主さんや親戚代表、設計者が祭壇前で二礼二拍一礼で祈願します。
↓
(5)撒餅、撒銭等が用意してある場合は、集まった人たちに撒きます。
※地方によっては、棟梁が謡を唄う場合があります。
4.餅巻きの進めかた
(1)準備するもの
・撒5餅=3升~4升(ビニールに包まれております)
・撒銭=ご縁がありますようにと5円玉で用意した時代もありましたが、現在は5円玉と100円玉を和紙あるいは半紙に包んで建主様の年の数だけ用意します。
・お菓子=子供が多く集まる地域の場合に袋詰めのお菓子(1袋100円~150円)を20袋~30袋用意する場合もあります。
(2)撒く人・撒き方
撒く人の中心は、建主様と棟梁です。祭壇に用意した枡に餅と銭を入れて元気よく撒いて下さい。また、神事に参加した方々も一緒に手伝って撒いて下さい。
尚、昔は屋根の上から撒いていましたが、平屋ならともかく2階建ての場合は危険ですので、2階から撒いて下さい。
5.直会(なおらい)
大工や職人のお祭りですので、建主様は労をねぎらって接待役になって下さい。進行係は工務店が行いますが、建主様のご挨拶は忘れないで下さい。
酒席を用意して盛大に飲食する風習も残ってますが、最近は車の通勤が多いので、折角用意して貰っても残すケースが多いので工務店とよく打ち合わせてください。
この時に大工さんや職人・設計者を含む工事関係者にご祝儀や折箱等を用意して一人ずつ手渡して下さい。
6.上棟式にかかる費用
(1)神饌物=1万円位
(2)ご祝儀=一人当り5千円位で参加人数分
(3)折箱等=折箱・酒(2合瓶) ・赤飯等1人当り5千円位(但し、夏の時期は考えて下さい。)
(4)撒餅=1万円~1万5千円位
(5)撒銭=5千円前後
(6)つまみや酒、ジュース=適当
※折箱は多めに用意して、向う3軒両隣りに、これからのお付き合いの為に差し上げて下さい。尚、親戚の方々の分も忘れずに用意して下さい。
費用は、大体16万円~20万円位と思われます。最近は、上棟式を省略してご祝儀だけというケースも増えて参りましたが、一生に一度位は神事を行うようおすすめ致します。2軒目、3軒目、貸家の場合はまた別と思いますが....。